目の下の脂肪再配置と下眼瞼切開の違い
皮膚のたるみ・切開の位置・回復
目の下の脂肪再配置(裏ハムラ法・クマ取り)と下眼瞼切開は、どちらも目の下のふくらみと影の改善を目指す手術です。皮膚のたるみがあるかどうかと、どこを切開するかに違いがあります。
重要なのは年齢ではなく、今の目の下の解剖学的な変化です。
概要
| 目の下の脂肪再配置 | 下眼瞼切開 | |
|---|---|---|
| 切開の位置 | まぶたの裏側の結膜 | まつ毛のすぐ下の皮膚 |
| 皮膚 | そのまま | たるんだ皮膚を必要な分だけ除去 |
| 適応 | 脂肪のふくらみがあり、皮膚のたるみが少ない | 脂肪のふくらみに加え、皮膚のたるみ・小じわがある |
| 主な年齢層 | 30〜40代 | 50代以上 |
| 圧迫用テープ | 2日後に除去 | 2日後に除去 |
| 抜糸 | 通常はありません | 7日 |
| 洗顔 | 3日後から水で洗顔 | 抜糸の翌日から |
| コンタクトレンズ | 4週間後 | 4週間後 |
年齢は参考にすぎません。方法はカウンセリングで目の下の状態を確認してから決めます。
要点
- 目の下の脂肪再配置は、まぶたの裏側の結膜からアプローチし、皮膚に切開線を残しません。ふくらんだ脂肪をくぼんだ目の下の溝へ移動し、脂肪を包む眼窩隔膜を補強します。
- 下眼瞼切開は、まつ毛のすぐ下の皮膚を切開して脂肪を再配置または整え、たるんだ皮膚を必要な分だけ除去し、ゆるんだ眼輪筋を骨膜に固定します。
- 脂肪のふくらみだけで皮膚のたるみが少なければ目の下の脂肪再配置を、脂肪のふくらみに加えて皮膚のたるみがあれば下眼瞼切開をおすすめします。
目の下の脂肪再配置と下眼瞼切開は何が違いますか?
2つの手術の違いは、皮膚のたるみと切開の位置です。
目の下の脂肪再配置は、まぶたの裏側の結膜からアプローチし、皮膚に切開線を残しません。ふくらんだ脂肪をくぼんだ目の下の溝へ移動し、脂肪を包む眼窩隔膜を補強します。
下眼瞼切開は、まつ毛のすぐ下の皮膚を切開して脂肪を再配置または整え、たるんだ皮膚を必要な分だけ除去し、ゆるんだ眼輪筋を骨膜に固定します。
経結膜アプローチと経皮アプローチを比較したシステマティックレビューでは、どちらも脂肪を温存する手術に用いることができると評価しています。経結膜アプローチは、皮膚の弾力が良い若い年齢層により適しているとしています(Atiyeh et al., 2025)。


目の下の状態によって、どの手術を検討しますか?
目の下の状態によって検討する方法は次のとおりです。
脂肪のふくらみだけで皮膚のたるみが少ない場合:目の下の脂肪再配置
皮膚の弾力が保たれ、脂肪のふくらみが主な場合は、結膜からの目の下の脂肪再配置をおすすめします。主に30〜40代が該当しますが、20代や50代で行うこともあります。目の下がふくらみ、その下がくぼんでいる場合は、脂肪を取り除くより温存して再配置し、境目をやわらげます。
脂肪のふくらみに加えて皮膚のたるみがある場合:下眼瞼切開
脂肪のふくらみに加えて皮膚のたるみと小じわがある場合は、脂肪の位置を直すだけでは十分でないことがあり、下眼瞼切開をおすすめします。主に50代以上で多いですが、40代でも皮膚のたるみが強ければ必要になることがあります。皮膚を切除するため、まぶたの位置と支持組織を併せて考慮し、必要な分だけ皮膚を切除します。
脂肪より目の下の溝のくぼみが深い場合:下眼瞼切開と脂肪注入
脂肪が多くないのに目の下の溝が深い場合、脂肪を過度に再配置すると、かえってくぼみが目立って見えることがあります。この場合は、下眼瞼切開を行いながら適量の脂肪だけを再配置して境目をやわらげ、足りないボリュームは脂肪注入で補う方法をおすすめします。
中顔面までくぼみ、たるんでいる場合:中顔面リフトを併せて
目の下の脂肪のふくらみに加え、中顔面のボリューム減少とたるみがある場合があります。頬前面の広いくぼみや深いほうれい線がその例で、脂肪の再配置だけでは解決が難しいことがあります。この場合は、下眼瞼切開に中顔面リフト(SOOF lift)と脂肪注入を併せて検討します。目の下の問題は中顔面とつながっているためです。
手術の選び方を誤ると、どのような問題が起こりますか?
皮膚のたるみが強いのに目の下の脂肪再配置だけを行うと、脂肪は平らになっても、皮膚がよりしわっぽくたるんで見えることがあります。
反対に、たるみがないのに下眼瞼切開で皮膚を過度に切除すると、不要な傷跡や眼瞼外反(下まぶたが外側にめくれる状態)などの副作用が起こることがあります。皮膚の弾力が大きく低下している場合は、外反を防ぐために目尻側を固定する処置を併せて行うこともあります。
カウンセリングでは何を確認しますか?
重要なのは年齢ではなく、今の目の下の解剖学的な変化です。カウンセリングでは次の内容を併せて確認してから方法を決めます。
- 目の下の脂肪のふくらみの程度
- 目の下の溝の深さ
- 皮膚の量と厚み、弾力
- まぶたのたるみやゆるみの程度
- まぶたと頬の境目
- 中顔面のボリュームとたるみ
- 左右差
- 以前に受けた目のまわりの手術の有無
- 顔の他の部位のくぼみとたるみ
回復の過程はどう違いますか?
どちらの手術も、目の下の圧迫用テープは術後2日で外し、冷却は7日間行います。腫れと内出血は術後2〜3日目が最も強く、3〜5日間は頭を高くしてお休みいただくのがよいでしょう。再出血を防ぐため、術後2〜3日は安静にします。コンタクトレンズはどちらの手術も4週間後から使用できます。
違いは皮膚の切開線にあります。下眼瞼切開はまつ毛の下の皮膚に糸があるため、抜糸までは目の下と頬前面を除いた部分だけを洗い、抜糸の翌日から軽い洗顔が可能です。目の下の脂肪再配置は、皮膚の糸がない場合、術後3日で水での洗顔、7日で洗顔料を使った洗顔が可能です。
よくある質問
目の下の脂肪再配置と下眼瞼切開はどう違いますか?
目の下の脂肪再配置は、まぶたの裏側の結膜からアプローチし、ふくらんだ目の下の脂肪をくぼんだ目の下の溝へ移動する手術です。下眼瞼切開は、まつ毛の下の皮膚を切開して脂肪を再配置しながら、たるんだ皮膚も併せて整える手術です。皮膚のたるみが少なく脂肪のふくらみが主な問題なら目の下の脂肪再配置を、皮膚がたるんでしわが多ければ下眼瞼切開を検討することが多くあります。2つの手術は、年齢より皮膚のたるみと弾力の程度を見て決めます。
目の下がくぼんでいる場合でも、目の下の脂肪再配置はできますか?
目の下がくぼんでいる場合でも可能ですが、目の下の脂肪が少ない場合やくぼみが強い場合は、他の手術が必要なことがあります。目の下と頬前面の境目、頬骨の大きさ、頬前面の脂肪量などに応じて、再配置、眼窩隔膜の補強、中顔面リフト、脂肪注入などを計画します。形成外科専門医との詳しいカウンセリングで、まず原因を確認するのがよいでしょう。
参考文献
- Atiyeh B, Chrabieh E, Makkawi K, Beaineh P, Issa O, Emsieh S. Transconjunctival or Transcutaneous Approach for Fat-preserving Lower Lid Blepharoplasty? Plast Reconstr Surg Glob Open. 2025;13(12):e7345. doi:10.1097/GOX.0000000000007345 PMID 41415593
- 박대환, 백봉수, Nahai F. 안성형외과학. 제3판. 군자출판사; 2009. ISBN 978-89-6278-139-7.(韓国語)
- Cho I. The Art of Blepharoplasty. Koonja Publishing; 2017. ISBN 979-11-5955-234-2.
- 대한미용성형외과학회. 미용성형외과학 2. 제2판. 군자출판사; 2023. ISBN 979-11-7068-001-7.(韓国語)