目の下の脂肪再配置と経結膜脱脂の違い
除去と再配置・くぼみ・副作用
最も大きな違いは、手術名のとおり「除去か再配置か」です。
どちらの手術も目の下の脂肪が対象ですが、方法の考え方が異なります。
目の下の脂肪のふくらみと目の下の溝のくぼみは、同時にあることが多くあります。そのため、脂肪を温存してくぼんだ部分へ移動する目の下の脂肪再配置(裏ハムラ法・クマ取り)を先に検討することが多くあります。
概要
| 目の下の脂肪再配置 | 経結膜脱脂 | |
|---|---|---|
| 脂肪 | 取り除かず、くぼんだ目の下の溝へ移動 | ふくらんだ脂肪を除去 |
| 目の下の靭帯 | はがしてなめらかに伸ばす | はがさない |
| 適応 | 脂肪のふくらみ+目の下の溝のくぼみ | 脂肪のふくらみだけで、くぼみがはっきりしない |
| 時間がたった後 | 脂肪を温存するため、くぼんで見える心配が少ない | 多く除去すると目の下がくぼんで見えることがある |
| アプローチ | 結膜(経結膜) | 結膜(経結膜) |
方法は、カウンセリングで脂肪量と、目の下と頬前面の境目の状態を確認してから決めます。
要点
- 経結膜脱脂は、ふくらんだ目の下の脂肪を除去する手術で、皮膚の弾力が良く、目の下の溝のくぼみが目立たない場合に検討します。
- 目の下の脂肪再配置は、脂肪を取り除かず、下のくぼんだ部分(目の下の溝)へ移動する手術で、皮膚を切開しないことが特徴です。
- 最終的には、目の下と頬前面の脂肪量と目の下の溝の状態によって方法を決めます。
- 脂肪を温存する再配置は、時間がたって目の下がくぼんで見える心配が少ないため、目の下の溝のくぼみを伴う目の下には再配置を優先して検討します。
目の下の脂肪再配置とは
目の下の脂肪再配置は、脂肪を取り除かず、下のくぼんだ部分(目の下の溝)へ移動する手術です。脂肪を除去せず温存して活用するという考え方は、1995年に初めて学界に報告されました(Hamra, 1995)。これを目の下の溝に具体的に応用した経結膜の脂肪再配置の手技は、2000年に米国の学術誌 Plastic and Reconstructive Surgery に発表されました(Goldberg, 2000)。その後、臨床で標準的な方法の一つとして定着しました。
結膜からアプローチしてふくらんだ脂肪を分離し、目の下の溝の下にある骨膜下または骨膜上のスペースへ移動して固定します。皮膚を切開しないことが特徴です。
経結膜脱脂(目の下の脂肪取り)とは
経結膜脱脂は、ふくらんだ目の下の脂肪を除去する手術です。目の下がふくらんで見える原因である脂肪そのものを減らし、出ている部分を整えます。皮膚の弾力が良く、目の下の溝のくぼみが目立たない場合に検討する方法です。
最も大きな違いは、手術名のとおり「除去か再配置か」です
どちらの手術も目の下の脂肪が対象ですが、方法の考え方が異なります。脂肪を多く除去すると、時間がたって目の下がくぼんで見えることがあります。そのため、伴っている目の下の溝のくぼみを解決するために再配置を検討することが多くあります。反対に、目の下の溝のくぼみがはっきりせず脂肪のふくらみだけが目立つ場合は、除去だけで整うこともあります。
最終的には、目の下と頬前面の脂肪量と目の下の溝の状態によって方法を決めます。また、目の下の靭帯をはがしてなめらかに伸ばす過程は経結膜脱脂では行われず、目の下の脂肪再配置でのみ可能です。
そのため、目の下がふくらみ、その下がくぼんでいる場合は、再配置を先に検討します。脂肪を取り除くより温存して移動し、ふくらみとくぼみを併せて整える方法です。
傷跡と副作用はどうですか
どちらの手術も結膜からアプローチする経結膜の方法が標準的に用いられ、皮膚に切開の跡が残らないことが多くあります。
2022年に国際学術誌 Plastic and Reconstructive Surgery – Global Open に発表された比較研究は、脂肪除去群と脂肪温存(再配置)群の各20人を6ヶ月間追跡し、除去と温存の違いを具体的に示しています。下まぶたが引っ張られる状態(lid retraction)は除去群25%、温存群10%でした。目がくぼんで見える状態(sunken eye)は除去群の10%で起きた一方、温存群では起きませんでした。満足度(good以上)も除去群20%、温存群70%とはっきりした差がありました(Etman et al., 2022)。
回復の過程も違いますか
どちらの手術も冷却は術後7日間行います。腫れと内出血は術後2〜3日目が最も強く、その後少しずつ減っていきます。コンタクトレンズはどちらの手術も術後4週間から使用できます。洗顔とメイクは糸の有無によって可能になる時期が異なるため、正確な日程は担当医からご案内します。
自分にはどちらの手術が合いますか
形成外科専門医 キム・ダハン院長は、眼窩脂肪のふくらみの程度と頬前面のくぼみの程度を併せて見て、方向性を決めます。脂肪のふくらみが中等度以上で頬前面のくぼみがないか軽い場合は再配置を、頬前面のくぼみがより目立つ場合は再配置に脂肪注入を加える方法を検討します。
目の下の溝のくぼみがなく脂肪のふくらみだけの場合は、除去だけで整うこともあります。ただし、2022年のEtmanらの研究では、満足度(good以上)が除去群20%、再配置群70%でした。同様に、キム・ダハン院長の個人的な経験でも、6ヶ月以上の長期的な満足度は経結膜脱脂より目の下の脂肪再配置のほうが高いことが多くありました。
2つの手術のどちらか一方だけが正解というわけではありません。個人の脂肪量と、目の下と頬前面の境目の状態によって方向性が変わるため、正確な方向性はカウンセリングでの確認が必要です。
よくある質問
目の下の脂肪再配置は経結膜脱脂と何が違いますか?
経結膜脱脂はふくらんだ目の下の脂肪を除去する手術です。目の下の脂肪再配置はその脂肪を取り除かず、下のくぼんだ部分(目の下の溝)へ移動して広げる手術です。脂肪を多く除去すると、時間がたって目の下がくぼんで見えることがあります。そのため、伴っている目の下の溝のくぼみを解決するために再配置を検討することが多くあります。
目の下の脂肪再配置と脂肪注入を併せて行うこともありますか?
目の下の脂肪再配置と脂肪注入は併せて行うこともあります。移動できる目の下の脂肪が少ない場合や、頬前面と目の下の溝のくぼみが広い場合は、再配置だけではボリュームが足りないことがあり、脂肪注入を加えます。眼窩脂肪のふくらみが十分であれば再配置だけで行うことが多いため、カウンセリングで脂肪量とくぼみの程度を見て決めます。
目の下がくぼんでいる場合でも、目の下の脂肪再配置はできますか?
目の下がくぼんでいる場合でも可能ですが、目の下の脂肪が少ない場合やくぼみが強い場合は、他の手術が必要なことがあります。目の下と頬前面の境目、頬骨の大きさ、頬前面の脂肪量などに応じて、再配置、眼窩隔膜の補強、中顔面リフト、脂肪注入などを計画します。形成外科専門医との詳しいカウンセリングで、まず原因を確認するのがよいでしょう。
参考文献
- Hamra ST. Arcus marginalis release and orbital fat preservation in midface rejuvenation. Plast Reconstr Surg. 1995;96(2):354-362. doi:10.1097/00006534-199508000-00014 PMID 7624408
- Goldberg RA. Transconjunctival orbital fat repositioning: transposition of orbital fat pedicles into a subperiosteal pocket. Plast Reconstr Surg. 2000;105(2):743-748. doi:10.1097/00006534-200002000-00044 PMID 10697189
- Etman AG, Badawy MS, Setta HS, Magdy A, El-Badawy A. Evaluation of Fat Excision versus Sparing in Lower Blepharoplasty Using Orbital Gray Scale Analysis. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2022;10(9):e4530. doi:10.1097/GOX.0000000000004530 PMID 36203736
- 박대환, 백봉수, Nahai F. 안성형외과학. 제3판. 군자출판사; 2009. ISBN 978-89-6278-139-7.(韓国語)
- Cho I. The Art of Blepharoplasty. Koonja Publishing; 2017. ISBN 979-11-5955-234-2.
- 대한미용성형외과학회. 미용성형외과학 2. 제2판. 군자출판사; 2023. ISBN 979-11-7068-001-7.(韓国語)